ブックワームのひとりごと

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意見には同意するがあまり信用できない本―神野直彦『「分かち合い」の経済学』

「分かち合い」の経済学 (岩波新書)

 

あらすじ・概要

富める者が富み、貧しいものはより貧しくなる資本主義社会。そこから脱却するには「分かち合い」が必要だ。貨幣によらない相互扶助が崩壊した社会で、「分かち合い」のシステムを作るにはどうすればいいのか。経済の今後を語る本。

 

言っていることには同意するが理由付けがいまいち

著者の言っている結論自体は概ね同意するのですが、語り口や理由付けの方にあまり同意できませんでした。

 

読んでいるとこの資本主義社会への深い怒りを感じるんですが、感情的になりすぎて伝わりにくくなっている部分があります。それはちょっと言い過ぎなのではないか、と思う文がちらほら見かけます。

スウェーデンの福祉社会を異様に賛美するところもちょっとという感じですね。確かにスウェーデンはすごいですが、文化も気候も違う場所の価値観をそのまま輸入してもうまくいかないと思います。

 

あと、経済学の部分を語るにはいいでしょうが、エコロジーや教育の問題は経済学だけ詳しくても論じられるものではないと思うんですよね。そこのところを「こうすればいい!」と言われても信じられないです。

 

全体的に著者のアプローチ以外でも同じ結論に至る人はいるし、そういう本より優れているかというと疑問が残ります。

 

あとがきで政治家と付き合っているとか紫綬褒章もらったとか書いちゃうのも寒いです。本の内容と関係ないでしょう。あとがきは自慢をするところではないです。