あらすじ・概要
宝玉を求めて旅を続けるワタルたち。そんな折、幻界に「ハルネラ」が迫っているとわかる。女神がヒトビトからヒト柱を召し、冥王として結界を貼らせるのだという。「自分がヒト柱になるかもしれない」と混乱に陥る幻界のヒトたち。ワタルは自分とミツルどちらかがもうひとりの「ヒト柱」になることを知る。
自分と向き合うための旅をしよう
アンカ族以外にもやべー奴らが出てきてちょっと安心しました。やっぱりアンカ族だからって悪いってわけじゃないんですよね。大事なのは環境と本人の心がけ……。
読み返してみると、この時点から「この旅は自分と向き合う旅」というのが示されているんですね。願いを叶えるため、というのは、物語を動かすための目的であって作品のメインというわけではありません。
ミツルもそのことに早く気づいていれば、あんな結末を迎えることはなかったのかもしれません。
デラ・ルベシのくだりはなかなか恐ろしかったです。自分自身を変えることを拒み、「選民」として生きることを選んだ人たち。あきらめた人間同士、楽しく生きることもできたのではないかなと思うんですが、それすらもしませんでした。
教王の存在は虚無だけど、鏡を壊したのは彼のプライドだったのかもしれません。
ワタルがミツルに再会するところでこの巻は終わります。なんだかんだ、ミツルはワタルのことを気にかけているのがわかります。親の不倫でひどい目にあった人間同士だからでしょうね。
冷酷なミツルの、ほんのわずかな情を垣間見る瞬間があるから、この作品は面白いです。