あらすじ・概要
なでしこリーグで選手をやっていたナツは、ファンに惜しまれながらも引退した。しかし引退して、自分はサッカーしかやってこなかったことに気づく。孤独感や子育てへのあこがれから、婚活を始めるナツだったが、サッカー一筋で世間知らずのナツはうまく婚活することができず……。
自分を商品として売り出す葛藤とそれでも持てるポジティブさと
内容としてはあらすじで予想できる通りの作品で、特に劇的な展開も伏線もありませんでしたが、それでも面白かったです。
婚活は、どうしても自分が恋愛対象として評価され、「市場価値」がわかってしまうものです。そういう事実とどうにか向き合い、最終的に前向きになろうとする主人公が心地よかったです。
アスリートでサッカー一筋で生きて来た主人公が、婚活をきっかけに自分の人生を見つめ直し、一喜一憂しながらあがいていくところは、同世代の人間として共感しました。応援したくもあります。
そして婚活を扱いながらも、露悪的になりすぎず、過度に嫌な展開をしなかったところも好感が持てました。悪役的なキャラはいるにはいるんですが、ミソジニーミサンドリー的な展開にはならなくて安心しました。恋愛をテーマにした作品でそういう路線に行かれるとつらいんですよね……。
オチも予想通りと言えば予想通りですが、著者も婚活をしながらこの本を書いたらしく、「著者が自分を励ます、そのおすそわけ」をもらった作品としては楽しかったです。
基本的に前向きで、元気になれる作品でした。