あらすじ・概要
パートナーと別れ、同棲を解消した著者は、家賃の金銭的負担と孤独死の恐怖にさいなまれていた。そこで、似たような悩みを持つオタク同士でルームシェアをすることを思いつく。メンバー探しや物件探し、引っ越しの流れから、実際に暮らしてみた日々のできごとを描いたエッセイ。
笑いを交えてオタクの同居生活を描く
読みやすいポップな文体で、さくさく読めて面白かったです。
印象的だったのは、4人ルームシェアのいい意味での「軽さ」です。
女性4人で仲良く暮らしていても、「一生一緒にいよう」とか「うちらの友情は永遠」とか、湿っぽく熱い友情ではありません。むしろ著者は「この中の誰かが恋に落ちても面白い」とか、「介護が必要になったら一緒に暮らしていくことは難しいだろう」とか、友情について結構あっさりした認識を持っています。
でもそういう一線を引いた付き合いだからこそ、お互い助け合って暮らしていけるのかもしれない、と思います。
ノリのいいオタク同士で暮らしているので、DVDやアニメの上映会が始まったり、たこ焼きを焼いたり、流しそうめんをやったり、とにかく楽しそうです。
「町内会のイベントに参加して焼きそばを焼いてみたい」というくだりには笑ってしまいました。独身女性4人って怪しくない!?と思うところも。でも将来的にはこういう友達同士で暮らす人たちが地域や社会のイベントに受け入れられていくのも大事だと思います。
面白おかしい内容だけではなく、「同性の友達」で一緒に暮らすことによる世間的なハードルについて書かれていることも興味深かったです。
ただし、読みやすくはあるけれどものすごいオタク語彙の本で、特定の作品のパロディもガンガン飛び出てくるので、そこは好みが分かれるかもしれません。良くも悪くもアッパー系のオタク……!