あらすじ・概要
「調べること」は学者や専門機関、記者の専売特許ではなく、一般市民も社会のことを調べることができる。図書館やインターネットの使い方、聞き取り調査やインタビューのこつ、調べたことをどう発表するかなど、市民の視点から調査を語ったハウツー本。
どうやって信頼できる情報にアクセスするか
最近は情報同人誌が流行っていて、自分が調べたものを同人誌にして即売会で売る人が多いのですが、そういう同人作家はこの本を一回読んでおくと参考になるのではないかと思いました。
どうやって信頼性のある情報にアクセスするかを語りつつ、市民の視点から無理なことは書かれません。あくまで個人や有志のグループで集まって、調査する人のための本です。こういう本はなかなかないのではないでしょうか。
学者ではない人間がどうやって論文を検索するか、インターネットをどう活用するかも書かれていました。
アンケート調査の落とし穴は、自分が漠然と思っていたことだったので言語化してくれて助かりました。アンケートを積極的に書く人と書かない人がいるからその時点で公平な調査ではないんですよね。
「アンケートを積極的に書かない人」から話を聞くのは難しいです。
また、プロの研究者ではなく個人が「調べる」意義について水俣病の例を引いて語っていました。当時の科学者は毒の魚を食べた母親のお腹の中の胎児が水俣病になることをなかなか認めませんでした。しかし水俣の人たちが強く主張したことによって、科学者の方が間違っていると証明されたのです。
文章もあっさりしていて読みやすく、良書でした。