ブックワームのひとりごと

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俗っぽさと人文学的面白さが同居するコミックエッセイ―グレゴリ青山『グレさんぽ~琵琶湖とかインドとか』

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グレさんぽ ~琵琶湖とかインドとか~ (フラワーコミックススペシャル)

 

あらすじ・概要

関西に住むイラストレーター・漫画家である著者。そんな著者が琵琶湖を巡ったり、伊豆に行ったり、インドにまつわる展覧会に協力したりなど、日々のことを語る。いろいろなところをぶらぶら歩いて見たものとは……。

 

マニアックで著者の文化的素養を感じる

関西在住の著者が関西中心にいろんなところをぶらぶら……と書くのは単純なんですが、行ったところがなかなかニッチで他のコミックエッセイにはなく、新鮮でした。

琵琶湖を一周しようとして琵琶湖の周りを回る列車を途中下車したり、(世間的には)あまり知られていないような芸術家の作品を見に行ったり、周囲に何もない場所へ炭鉱の跡を見に行ったり。

マニアックであると同時に、「どうやって調べたらこんな場所にたどり着けるんだろう……」と思います。

そういうマニアックな場所を探し出して向かう著者の文化的素養と、漫画としての俗っぽさが同居していて、すごく面白かったです。

インテリっぽいのに、気取ったところのない描き方が安心感があります。

みんなが知らない、でも面白い場所に行ってみたいという人は楽しめると思います。

 

一見単純でゆるい絵柄に見えて、街並みや食品は結構細かく描き込まれているところもよかったです。テンプレ的な絵の上手さではありませんが、めちゃくちゃ丁寧に絵を描いているのだな……と思いました。