ブックワームのひとりごと

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男装の女軍人と優しい貧乏貴族の自給自足生活―江本マシメサ『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』

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北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし (宝島社文庫)

 

あらすじ・概要

極寒の地で暮らす貴族、リツハルドは、男装の女軍人ジークリンデに、初対面でプロポーズしてしまう。利害が一致したふたりは、契約結婚をすることに、トナカイとともに暮らす大地で、自給自足の生活をしながら、ふたりは仲を深めていく。

 

危機が発生しないラブストーリーもいいよね

カップルの危機はほとんど発生せず、ただただ契約結婚した男女が本当の夫婦になっていくところを書いただけのラブストーリーです。

別に危機もあってもいいのですが、そのトラブルを書ききれていないと思う話がそれなりにあるので、こういう風に潔く「カップルにトラブルを起こさない」方向性もありだと思います。

その代わり何が描かれているかと言うとふたりが協力して狩りをしたり料理をしたりする「生活」です。ただの生活もそれを面白く書けるなら楽しいなと再確認しました。

息抜きにのんびり読むにはちょうどいい作品です。

キャラも宝塚のようなかっこいい女性と、ヘタレだけど優しく誠実な男性とで、普通に幸せになってほしいと願えるキャラ設定なのがよかったです。

優しい人が報われる話はいいですね。

 

ただちょっと気になったのが、この話が「北欧っぽい架空の世界を舞台にしている」のか、「現実の北欧のパラレルワールドを書いている」のか、よくわからなかったところです。

作品のリアリティが場面によってころころ変わるので、どういうつもりで読めばいいのか混乱しました。実際の世界にある地域名、民族名が出てくるし。

ただ流せばいいと言えばそうなんですが、私はこういうの気になるタイプなんですよね。