あらすじ・概要
日本に逃れてきた難民、働きにやってきた技能実習生など、日本には様々な外国人や外国にルーツを持つ人々がいる。しかし一部の人たちは日本の法律やシステムのせいで、苦境に立たされている。困難に巻き込まれた日本に住む外国人たちを紹介し、日本社会の排他性を問い直す。
システムや法律が差別を助長してしまうのはどうなのか
日本社会で困っている外国人の実例はきついものが多く、薄い本ながらも心が重くなりました。
特に読んでいてつらかったのは日本で孤独出産したベトナム人女性リンさんの話ですね。日本人女性もときどき産んだ赤ん坊を遺棄して罪に問われるのですが、そもそも産みたくても周囲の協力を得られない状況の方がおかしいです。女性に中絶を強制するのもどうかと思いますしね。
少子高齢化対策などと言っておいて、子どもを身ごもった女性に優しくない社会は矛盾しています。
世界中どこに行っても何かしらの差別はあるのでしょうし、私も外国の人を目の前にして偏見なく話せるかはわかりません。
ただ、人間は弱い生き物だからこそシステムや法律の側で差別を起こりにくくするのは大事だと思います。
そのシステムや法律が差別を助長してしまうのはやりきれないものがありますね。
すべて読んでから「隣人のあなた」というタイトルを見返すと感慨深かったです。自分がどう思おうと、外国の人たちはこの日本社会で暮らしています。その隣人たちに対してどうしますか? と問われている気分でした。