あらすじ・概要
着物にあこがれながらも、その難しさに挫折していた著者。そんな中、結城紬の関係者に漫画の依頼を受ける。結城紬の肯定や特徴について学び、ついには結城紬を着ることに。結城紬に関わる人たちの悩み、そして結城紬を後世に伝えようとする活動とは……。
文化財になることのデメリット
著者が結城紬関係者から依頼を受けて執筆した、いわばPR漫画のようなものなのですが、それでも結構知らないことが多くて面白かったです。
ただタイトルで「結城紬」の漫画であることがわからないので、そこはタイトル詐欺ですね。
面白かったのは結城紬が文化財に指定されることによって、結城紬の価格が高騰してしまい、「贅沢品」としての印象が先行してしまったことです。しかし紬は屑まゆを使って作る庶民の着物で、「フォーマルではないもの」という前提があります。「値段が高いのに、フォーマルの場では使えない」という二律背反があり、結城紬は近寄りがたいものになってしまいました。
個人的には着物のマナーは現代に則していないものが多いので、多少おおらかに考えてもいい気がしています。ただでさえ着物を着る人が減っているというのに。
そんな中で、結城紬に関わる人々は古着屋を営んだり、結城紬でてきた小物を売ったりと、庶民が結城紬の接点を持つ方法を模索しています。
文化財になること=いいことだと漠然と思っていて、文化財になることのデメリットを考えたことがありませんでした。そういう意味で新しい価値観を知った漫画でした。