あらすじ・概要
生きる苦しみによって自ら命を断ってしまう人がいる。自死の悲しみは、当事者だけではなく家族も襲う。自死遺族たちが受けた差別や社会への疎外感、また対策について述べる。自死する人を減らし、自死遺族たちを支援するために、社会は何ができるのだろうか。
自死遺族たちが受けた差別がつらい
かなり重たい内容の本で、得に自死遺族たちが受けた差別やいわれのない噂については心が詰まりました。
「家族が自死に追い込んだのではないか」と疑われたり、自死について語ろうとしたときに相手にかたくなに拒否されたり、読むだけで悲しい気持ちになりました。
本の中で繰り返し語られているのは自死遺族同士のコミュニケーションや助け合いの重要性です。自死遺族を助けたいという人はいるももの、「助ける・助けられる」の関係自体を苦痛に思う遺族も多いです。自死遺族同士で、死んだ家族のことや自死についての偏見への愚痴を語り合うことで、対等な助け合いができます。
実際のところ私だって他人の自死について語り合おうと言われたら何を話していいのかわからず、失言する可能性はあると思います。自死遺族たちが自ら発信してくれるのは、何を言ってはいけないのかがわるからありがたいです。
安倍元総理銃撃事件を起こした山上容疑者も、一家離散のきっかけは父親の自死です。テロが許されるわけではないですが、自死遺族への理解やケアが充実していれば、一家の生活は狂わなかったかもしれません。やるせないですね。