ブックワームのひとりごと

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倫理のない世界で妄執的な作画の良さが光る―『ふしぎの国のアリス』

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ふしぎの国のアリス (1951) (吹替版)

 

あらすじ・概要

少女、アリスはある日時計を持って走る白うさぎを目撃し、その後を追う。穴に落ちてたどり着いた先は、おかしな動物や人間だらけの世界だった。体が大きくなったり小さくなったりし、マッドハッターのお茶会に参加し、たどり着いた場所はハートの女王の城。アリスは女王とクロケーをするが……。

 

徹底したナンセンスさの中に作画のすごさを感じる

元々の原作に倫理がないのもあるでしょうが、今のディズニーでは考えられないほど倫理のないシーンが多くて驚いてしまいました。

セイウチが牡蠣を騙し討ちして食べてしまったり、ドードーがアリスのいる家を焼こうとしたり、歌の中身もだいぶどうかしていました。

動物がキャラクター化されているとはいえ、動物虐待に近いシーンも多々あるので動物好きな人にはつらそうです。あと食べ物を粗末にするシーンがめちゃくちゃ多い!

 

しかし徹底したナンセンスさ、ストーリーやテーマのなさゆえに、当時のディズニーの妄執的なアニメのクオリティを感じられる作品でした。

キャラクターの細やかな動きや、水滴や水面のリアルさ、複数の物体がてんでばらばらに動くシーンなど、本当にデジタルがろくにない時代に作ったものなのかと驚きます。

ストーリーがしっかりしたアニメだったら、この生々しくも繊細な動きに気づかなかったかもしれません。

 

アメリカの映画ってあまり「癖」というものを感じないんですが、この映画は癖が盛り盛りで、面白さと同時に何とも言いがたい気持ちになりました?