ブックワームのひとりごと

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男女バディミステリかと思ったら百合要素がすごかった―喜多みどり『亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のお茶会』

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 亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のお茶会 (角川ビーンズ文庫)

 

あらすじ・概要

イギリスに渡り、スタグフォード校に通うことになった亜夜子。スタグフォード学園の優等生であるレジナルドに助けてもらうが、彼は命の恩人であることを盾に亜夜子をフォグ(下僕)にしてしまう。レジナルドにこき使われるうちに、亜夜子は学校内での殺人事件について知っていくことになる。

 

男女バディだと思ったら終盤の百合に持っていかれた

男女バディミステリか~面白いなと思っていたら終盤の百合展開に全てを持っていかれました。何これ?

 

命の恩人であることを盾にファグになることを要求してくるというあまり性格のよろしくないヒーローなのですが、自分が悪いと思ったら謝る柔軟さを持っているのがいいですね。

主人公の亜夜子も言い返すときはきっちり言い返す気の強さがあるので、あまりストレスになりません。

 

読み進めるとレイが事件を解決することにこだわるのはどうしてなのかがわかってきます。

自分には義務があるから、地位があるから、何かを為す義務があるという思想は私は好きです。

亜夜子に理不尽なことを言うのはどうかと思いますが、作品全体を見るとどうにも憎めないキャラクターでした。

でももっと亜夜子には叱られていいと思います。

 

実際のところ舞台となった昔のイギリスは、もっと男女差別や人種差別がひどかったと思いますが、そこはあまりリアリティにこだわってもつらいでしょう。フィクションとしてはこんなものですかね。

 

しかし、百合展開がすごすぎたせいで主人公ふたりよりもあの人とあの人のことが印象に残ってしまいました。「少女小説の百合でしか取れない成分がある」と思っている人には読んでほしいですね。

ネタバレになるので、詳しく言えないのが歯がゆいところです。