あらすじ・概要
はるな檸檬は、子どもの頃から読書好きとして暮らしてきた。夢中になった児童文学や、高校生時代に友人と読んだ過激な内容の小説。大人になった今から振り返る、あのころの本を語るコミックエッセイ。
疎外感を覚える思春期時代の若者にとっての、読書
読書と思春期をめぐり、「あのころどうして本が必要だったのか」を振り返る著者に共感を覚えました。
著者は高校で、偶然同じ名前の「はるなちゃん」という女の子と出会い、仲良くなります。
その、はるなちゃんが著者に貸した本のラインナップが、性的描写や暴力を含むものでした。
著者は、はるなちゃんへの憧れからどんどん借りた本を読むようになります。
思春期の鬱屈感、臆病なのに尊大なところ、自分は特別でありたいという願望……。著者とはるなちゃんはその欲望を読書に向け、語り合います。
その鬱屈感が、ああわかる~という感じで面白かったです。
私もかつて、友達がいてもどこか疎外感を覚え、本に溺れる子どもでした。本が自分自身の居場所を作ってくれる、というのは大いにあります。
進学校で「勉強しろ」という圧力がかかる中、フィクションの中で「悪い子」像を読む著者とはるなちゃんが印象的でした。
著者の読書遍歴と、子ども時代~思春期までの心の揺らぎがコミカルに、かつ丁寧に描かれていて面白かったです。おすすめです。