あらすじ・概要
戦いが終わり、つかの間の平和を満喫するザイロとテオリッタ。しかし、テオリッタは人間の勢力から命を狙われることとなる。人間を攻撃できないテオリッタのために、ザイロは頭を絞る。別行動をとっていた竜騎兵や砲兵も合流し、人間の街で苛烈な戦いが起こる。
パト―シェが株を上げたところがいい
今回も面白かったです。
特に面白かったところは、前巻でヘタレ要因だったパトーシェ・キヴィアが一気に株を上げたところです。懲罰勇者たちが壊れ性能なだけで彼女はかなり優秀で、他人に対する思いやりもあります。
そんな彼女がこの巻のラストで下した決断は、彼女らしくもあり、苦いものでもありました。優しく気高いからこそこの選択肢を取ってしまいます。倫理のないこの作品で、良心と言えるキャラクターになりつつありました。
今回の敵役は、悪人ではあっても自分の好きな相手には生き残ってほしいと望みます。浅ましい思想ですが、人間味のある価値観だと思います。人類が滅ぶ滅ばないの瀬戸際で、社会全体のことを考えられる人の方が特別なのでしょう。
パトーシェもそうですが、親しい人より大義を優先できる人は、そういないのだと思います。
懲罰勇者という制度の仕組みについても明かされ、状況はどんどんきな臭くなっています。単純に魔王現象を倒すだけでは解決しない物語なのでしょう。
はぐれ者や倫理のない者ばかりの部隊で、どこまで世界を変えられるのか、続きが楽しみです。