あらすじ・概要
夫のアメリカ駐在についていったオタク妻は、そこでアメリカの文化に適応するため苦労する。子どもの教育のこと、夫の仕事のこと、日本人同士のつきあいのことなど、アメリカで暮らした人にしかわからないエピソード盛りだくさんのエッセイ。
オタク駐在妻がアメリカのいいところ悪いところを語る
著者がオタクなので価値観に共感がしやすかったです。全く違う考えの人であればどこを取っ掛かりにしていいのかわからないですからね。
ブラック企業があったり、付き合いが大変だったり、漠然と「アメリカはこういう国」と思っている部分を覆していきます。一方で、多様な人間が住んでいる前提でシステムが構築されているのはすごいです。移民社会ってこういうものなんですね。
日本人同士だから問題なく話せるわけでもなく、その中でやりにくいこともあるのがリアルでした。
アメリカという国のいいところも悪いところも描いているので、メッセージが押し付けがましくありませんでした。気楽に読める内容です。
オタクなので、アメリカにおける日本文化の立ち位置の話も面白かったです。図書館に日本の漫画があったり、日本人によるガレージセールで盛り上がったり。やはり、アメリカの人も自分と違う文化を覗いてみたいという欲求はあるのでしょう。
コロナ禍のごたごた、そして夫がブラックな環境で働かされているという事実から、著者家族は日本に帰国します。その顛末もなかなか面白かったです。自分をすり減らすより、逃げの一手も必要ですね。