ブックワームのひとりごと

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『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』作田ハズム 感想

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映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ

 

あらすじ・概要

すみっコが大好きなすみっコたちは、ある日古ぼけた工場を見つける。そこで出会ったくま工場長にスカウトされ、おもちゃ工場で働くことになった。くま工場長は優しく工場は好待遇だったが、徐々に過酷になっていくノルマに、すみっコたちは疲弊していく。

 

ブラック労働がホラーで怖い

実は公開初日に見ていたのですが、あまりの衝撃に打ちのめされて感想が書けないでいました。そのくらい怖かったです。

 

恐ろしいのは過剰な労働を強いてくるくま工場長も、それに従うすみっコたちも全員善意のキャラクターであることです。特にくま工場長は、ポジティブな声かけも、すみっコたちへの高待遇も、心から善意でやっています。

実際のところ、ブラック労働を強いてくる職場の上司というのはごりごりの悪人とは限りません。むしろ仕事が大好きだからこそ部下にも仕事の楽しさを知ってもらいたいと思っている人も多いです。自分にとって仕事が楽しいからこそ、周囲もいつか仕事の楽しさに目覚めてくれると思い込んでいます。

「好き」という本来ポジティブな感情がもたらす視野狭窄に、怖くて震えました。

 

そこからポジティブなオチに持ち込むところもすごかったです。

生産性にとらわれる人生から、ここで誰かが一緒に過ごしてくれることに重きを置く人生への転換が描かれます。

「誰でも何にでもなれる」という言葉が美しいですが、いつか今の自分を捨てなければならない時期がやってきます。自分は他のものにもなれる、という救いが優しかったです。

 

しかし、序盤のホラーシーンが怖すぎて、今の今まで作品の感想を上げられませんでした。ショックを受けてしまっていたのです。事前にまったく情報を入れていなかったのでよけいでしょう。びっくりしました。