あらすじ・概要
自分の身をもって悪神を封じる娘、沙綾の前に、解放された祟り神、嵐嶺が現れる。封印の影響で慢性的な体調不良になっていた沙綾は、封印が説かれて元気になって大喜び。自分が健康でい続けたいのもあり、嵐嶺のことを構い、彼を悪神でなくしたいと行動する。
トンチキだけどたくましくて優しいヒロインがいい
3巻まで読んだ感想です。
オラオラ系神様ヒーローと、元気に周囲を振り回すトンチキヒロインの組み合わせが面白かったです。
本来、悪い神であるはずの嵐嶺が、ほだされてまともになっていく敬意が丁寧に描かれていてよかったです。
ヒロイン沙綾も世間知らずでめちゃくちゃな物言いをしますが、長い間体調不良であったからこそのたくましさや共感能力があり、好きになるのもわかるキャラクターです。モラル自体は高く、人が傷つくことを忌避するので読んでいて安心感があります。
神との結婚を描いた少女小説はいくつか読んだことがありますが、ヒーローが怨霊から生まれた悪神というのも意外性がありました。
怨霊から神になった人たちというと菅原道真や平将門を思い出しますが、言われてみればフィクションのテーマとして扱われたことは少なかったですね。ありそうでなかったところをついたいいアイデアでした。
平安風ファンタジーなのに一神教のキャラが出てくるというツッコミどころはありますが、まあコメディだしな……と許せます。
粗がないわけではありません。特に主人公カップル以外の描写に魅力を感じないのは不満でした。現代とは倫理が違う社会であるということを踏まえてもやべー男が多すぎます。
とはいえそこは著者との性癖の不一致かもしれません。
3巻でサクッと読めるライトノベルでよかったです。