ブックワームのひとりごと

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『かんもくって何なの!? しゃべれない日々を抜け出た私』モリナガアメ 合同出版

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かんもくって 何なの!?: しゃべれない日々を脱け出た私

 

あらすじ・概要

特定の場所で話せなくなる病、かんもくになってしまった著者。機能不全に陥る家族の中で、必死に暮らしていた。大人になって、話せるようになっても、かんもくであること、親にまともに愛されなかったことを引きずって生きていた。

 

機能不全過程で育ったかんもくの人の悩み

機能不全家庭で育ちかんもくになってしまった人の悲しく勇気づけられる話

絵柄はコミカルではありますが、心理的に残酷で悪い感情が溢れるシーンが多いので、精神的に元気なときに読んだ方がいいかもしれません。

幼少期に著者が受けた精神的虐待は、筆舌を尽くせぬほどひどいです。

また、著者が居場所がない若者なのを嗅ぎ付けたのか、性加害を行うバイト先の上司もひどかったです。こういう悪い大人って、弱い立場の子どもを見抜くのがうまいんですよね。

 

自分もオタクだったので、「変わりたい」と思った著者が選んだ場所が同人誌制作の世界だったことが感慨深いです。好きな漫画でつながり、ネガティブで暴力的な展開であってもフィクションの中では許されます。また、同人仲間にも恵まれ、著者は人間として成長していきます。

あそこまで他人への嫉妬や悪意に悩まされていながらも、変わりたいと願い、実際にその望みが叶ったのはすごいと思います。友人と対等な関係を持てるようになった著者の姿に胸が熱くなりました。

 

 

著者にとっては意地悪な姉だったのかもしれないですが、家から抜け出せていない姉の今後が心配になりました。意地悪はよくないですが、ろくでもない親の元で育ってしまったのは本人の罪ではありません。

彼女もどこかで親と離れて楽しくやってくれているといいですね。