ブックワームのひとりごと

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『犬神家の一族』市川崑 感想

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犬神家の一族(1976)

 

あらすじ・概要

一代で莫大な財産を築いた犬神家を訪ねた探偵、金田一。そこでは当主の死による遺産相続の争いがあった。斧・琴・菊のモチーフとともに次々と殺されていく犬神家の一族。金田一は事件を解決する糸口を探す。

 

昭和のイエ制度と戦後の不穏さ

いろんな映画やドラマでパロディされてきた作品ですが、元ネタを見ると元ネタの方が面白いと感じました。

 

怪しげな名家に探偵が赴き、そこで殺人事件を解決します。助手役がおらず、探偵の行動にツッコミを入れるキャラがいないのは、新鮮でしたね。

探偵、金田一は、一見だらしがなく正直すぎますが、事件解決には真面目に取り組んでいるところが高感度が高かったです。

 

戦争の悪夢が冷めていない時期に、出征した息子が生きていると信じたい母親の姿には胃が苦しくなりました。キャラクターには善人でない人が多く、後ろ暗いところを抱えています。しかしふとしたときに見せる悲しみや、愛情、葛藤には生々しいものを感じます。

 

陰鬱な戦後の時代で、息苦しいイエ社会に暮らしている人々の悲しみと怒りを感じる作品でした。

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