ブックワームのひとりごと

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『イグアナの嫁』細川貂々 幻冬舎文庫 感想

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イグアナの嫁 (幻冬舎文庫)

 

あらすじ・概要

漫画家志望の著者と、仕事をしていない夫の夫婦は、ある日イグアナを飼い始める。自分本位だった家庭は、イグアナの存在によって変わり始める。少しずつ上手くいっていると思った矢先に、夫が過労によってうつ病になってしまう。著者は一家の大黒柱としての振る舞いを強いられる。

 

ペットのイグアナによって好転していく家族

ツレうつのもう一つの側面にあたる作品です。これを読んでいると、著者は決して「理解のある妻」ではなかったことがわかります。

漫画家志望でありながら、行動に出ることができずに、ぐずぐずとネガティブになっていた著者。そんな著者を夫はなぐさめで支えます。

と思えば、夫も音楽の道で食べていこうとして他人にだまされるような愚かなところもあります。

良くも悪くも、人間らしいふたりの夫婦生活をユーモラスに描いていました。

 

夫がうつになってからは、著者は大黒柱として生きることを強いられます。著者は最初から夫がうつであることをオープンにして、仕事を取りに行きます。

支えられていた夫を、今度は自分が支える。うつ病の家族としての著者の戦いは、静かではありますがシリアスです。

序盤に比べると、著者は大きく成長していました。漫画家志望の女性の成長譚として、面白かったです。