なんとなく須賀しのぶが読みたい!となり、入手してきた本です。表紙、よく見るとスーツで走ってるんですね。
あらすじ
所属していた会社の野球部が廃部になり、身の振り方を考えていた高階に、クラブチームから誘いが来る。最初は乗り気ではなかったが、三香田に行ってみたことから考えを変える。ある野球のクラブチームを中心とした群像劇。
あきらめられない男たちの話
登場人物は、プロではなくても野球に人生をかけようとする人々。その葛藤や、厳しい現実が描かれています。
しかしその中で、野球でしか得られない喜びや、考え方の違う人間がともに同じ目標を目指す面白さが描かれています。
夢を追うことはみっともなくて、泥臭い。だけど夢を追うことでしか手に入らない幸せもあるんですよね。
途中で夢破れることもあれば、ひょんなことから叶ってしまうこともある。ただみんなが、作品の中で精一杯自分のできることをやりとげようとするところには勇気が出ました。
チームが直面する困難に「なんとかうまくいってほしい」と願いながらページをめくっていました。
男性の描写がリアル
いつも思うけれど、須賀しのぶの好きなところは男性の描写がリアルなところです。
個性的ながらも「こういう男性いそうだな」というキャラクターが描かれています。欠点もかっこよさも含めて、現実味があるんですよね。
さすが少女小説時代から男性ファンが多かっただけあります。
単純に「かっこいい」と思えるだけの男性ではないけれど、女性の思い通りにならない、制御しきれない男性を書くところはある意味誠実だなと感じます。
ときめくだけではなく、どうしようもないところを描きながら、「それでもこのキャラが好きだな」と思わせてくれる塩梅が大好き。だからこそたくさん読みたくなってしまうんですよね。
理想を描くだけが、キャラクターの魅力ではないということでしょうか。
まとめ
夢を追うことの葛藤や苦しさを描いた、年齢層が高い青春小説という感じでした。
自分が望めばいつでも青春は開始するのかもしれません。