あらすじ・概要
山奥の村で、狩りをして生活していたカリエは、ある日エディアルドという男に誘拐され、アルゼウス皇子の影武者になれと迫られる。しぶしぶ皇子としての教育を受けたカリエは、次の皇帝を選ぶ「皇子宮」へと向かう。そこではカリエも含む4人の皇子が暮らし、次期皇帝になるための教育を受けていた
つかの間の家族関係の終わり
再読。読み返すとサルベーンがだいぶひどいやつでした。
カリエの淡い恋心を利用するし、対立を煽るような真似をするし、最低男です。まあ、サルベーンはシリーズを通してそういうやつではありますが。
エディアルドや周囲にめちゃくちゃ言われて反発して、自分の心を失わないカリエはえらいです。さすが少女小説のヒロイン。
脅されて皇子の影武者になったカリエでしたが、皇子宮で兄弟としてそれぞれの皇子と交流するうちに、家族としての連帯感が生まれます。
皇子宮で仲良く家族のように暮らしていた4人の皇子たちが、陰謀に引き裂かれ、苦しい思いを抱えて生きることになります。その姿には胸が詰まりました。
この4人に陰謀をもたらした、そしてはからずも陰謀を背負って生きていかなくてはならなくなった人がいるのがつらいです。
大長編の序章ではありますが、これはこれでキリのいいところで終わっていて面白かったです。