ブックワームのひとりごと

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恋の終わりと少女の成長で締めくくる 小野不由美『ゴーストハント7 扉を開けて』感想

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ゴーストハント (7) 扉を開けて (幽BOOKS)

ついに最終巻。感慨深いですね。

 

あらすじ

前巻の事件の帰り道、山奥に迷い込んだSPRのメンバー。ナルはそこで突如「SPRを解散する」と宣言した。納得がいかないSPRのメンバーたちはコテージを借りてその場に残る。そんな中、地元の人たちに幽霊の出る校舎についての依頼が来る。

 

幽霊学校怖い

この学校にとらわれている幽霊たちが怖くて悲しかったです。

メンバーが一人ずつ入れ替わり、彼女らを忘れていくのが怖すぎました。最終的にひとりでなんとかしなくてはならなくなった麻衣の焦りがこちらに伝わってくるようでした。

でもだからこそ、最後の浄霊シーンはほろりと来ました。彼らは本当の意味で帰ることができたんだなと思います。

そしてそれをやったのが麻衣なんですよね。1巻からは想像もつかない大手柄です。さらにそれをやったのが、1巻と同じ古い校舎と言うことが印象的ですね。

最後に1巻と似た状況に回帰するのは、物語の構成としてロマンがあります。

 

初恋の終わり、新しい人生の始まり

恋の成就ではなく、初恋の終わりで締めくくるのがいいなと思います。

たとえ叶わなくても、麻衣の恋は彼女を成長させてくれました。少し寂しいけれど、彼に恋した時間は無駄ではなかった。そう思えるところは青春小説らしいですね。

「彼」のおかげで麻衣がナルと腹を割って話せるようになり、さまざまな打ち明け話を聞けて読者としても面白かったです。ナルなりの考えやそこにあった感情を最後に知れてよかったです。

この物語とはとりあえずお別れだけれど、主人公たちやSPRのメンバーのその後に思いをはせたくなる、いい結末でした。

麻衣の言葉を借りるなら、「またね」でお別れしたくなるお話です。

 

まとめ

最後まで楽しめました。ちょっと寂しい終わり方ですが、希望もあってよかったです。

少女小説に興味のある人だけでなく、いろんな人に読んでほしいシリーズでした。

ゴーストハント1 旧校舎怪談 (幽BOOKS)

ゴーストハント1 旧校舎怪談 (幽BOOKS)