ブックワームのひとりごと

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双子が戦争の中の街で悪行を行う アゴタ・クリストフ『悪童日記』感想

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

 

あらすじ

母親によって祖母に預けられた双子。おりしも国は戦争の真っただ中だった。彼らは生き延びるため、さまざまな訓練を積む。貧困と搾取と暴力のはてに、双子が選んだ結末とは……。

 

クズしかいない小説

えげつない作品なので無理な人は無理だと思います。登場人物が全員クズです。

しかも性描写や暴力描写がなかなかきついので、他人に気軽におすすめしづらい本です。家の外で読んでいたけど、「何読んでるの」と聞かれたら困るところでした。

あらすじ欄に「読書界に感動の嵐を巻き起こした」と書いてありますが、どの辺が感動なのか問い詰めたいです。心を動かすという意味で使っているのでしょうか。

ただそんな露悪的で悪趣味な作品の中、戦争の悲惨さや人間の愚かさが垣間見えるところが、この作品の興味深いところです。

ただ直接的に「戦争は悲惨だ」と語るのではなく、何気ない日常の中の悲惨さを見せてきます。そこにぞわっとくるものがありました。

 

登場人物の内面が見えない面白さ

この作品の演出で面白かったのが、登場人物の内面描写がほぼないところです。

主人公たる双子も、ただただ行ったことを語るだけで、そのときどう思ったのか、何を感じたのか独白することはありません。

そこがいかようにも解釈できて、小説を読んでいるという実感がありました。

論文や随筆と違って、「読者に解釈を任せる」という手法はフィクションでしかできません。この本は読みやすいけれど、登場人物の内面を考えてしまうという点ではすごく頭を使う小説でした。

「これが正解だ」という決めつけはやぼだけれど、双子や周りの人たちに、少しでも悲しみや喜びという感情があったらいいなと思います。

 

まとめ

露悪的で悪趣味だったけれど、面白かったです。

気軽にお勧めしがたい本ではありますが、海外文学が好きなら一読の価値はあると思います。

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

 
ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

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