今回はあゆみと太一郎が向かい合っている表紙・裏表紙で、最後まで読むとなるほどなあという感じです。
向かい合って生きていくんですねえ。
あらすじ
レイディに誘拐されたあゆみは、彼女から極秘依頼を持ちかけられる。レイディの仕打ちがショックだったあゆみは気持ちを整理できない。その依頼は、銀河連邦を揺るがす大きなプロジェクトだった。
旅立ちで始まり、旅立ちで終わる
『星へ行く船』はあゆみが家出するところからスタートしました。その作品を、新しい旅立ちで締めくくるのは繰り返しの妙があって素敵です。
あゆみも、ただなんとなく流されるのではなく、自分の意思で歩き出していくところがかっこよかったです。彼女なら、どんな困難も乗り越えていけるだろうという安心感がありました。
そしてそれに伴う太一郎の決断もほほえましくも感動しました。彼も、好きだからという単純な考えだけじゃなくて、自分にとってそれが最適の選択肢だからそうしたのでしょう。恋人だからと言って甘やかしたり、溺愛したりはしない。けれど寄り添うことはするのが男前でした。
二人の旅立ちを心から祝福できる、素晴らしいエンディングでした。
自分自身を見つける旅
読み終わってシリーズを振り返ると、あゆみの旅は一巻で終わったわけではなかったのだと感じました。火星で暮らす中でも、葛藤や人との出会いを通して旅を続けていました。だから2~4巻でもあゆみは「星へ行く船」に乗っていたような気がします。
一人の女の子の成長物語として、自分自身を見つける旅を読者として追体験できて楽しかったです。
お別れは少しさびしいですが、あゆみの旅はこれからも続くのだろうと思うと、さわやかな気持ちで読み終えることができました。
「αだより」を読むと、あゆみの苦難はまだまだ続くのでしょう。そこに思いをはせられる終わり方でよかったです。
まとめ
終わり方がとてもよかったです。これからもどこかの宇宙であゆみが旅をしている気分になれました。
やっぱりシリーズものの終わりはこうでなくっちゃね。