涙腺がかたい人間なんですけど、久しぶりに映画で泣きそうになってしまいました。
あらすじ
メキシコとアメリカの国境近くで、老いたチャールズ・エクゼビアを世話しているウルヴァリンことローガン。彼のもとに「ある女の子を安全な場所へ運んでほしい」と依頼が来る。断ろうとするローガンだったが……。
老いたヒーローと美人幼女が逃避行
老いたヒーローと美人幼女(かわいいというより美人)が逃避行という設定だけで100点をつけたいです。
もちろん設定だけで売っているのではなく、無口で無表情な少女ローラの心の動きがきっちり描かれ、ローガンとの信頼関係が進んでいきます。おっさん少女の王道な話運びなんですが、やっぱり能力のある人の作る王道は最高だなと再確認。
ときめきの爆弾すぎて、映画館でなければ再生ボタンを止めて転がりまわりたかったくらいです。この旅路がずっと続けばいいのにと思います。そうは問屋が卸さないのがつらい。
本当におっさん少女と疑似親子が好きな人は絶対に見たほうがいいです。そりゃあもうすごいので。
ヒーローが老いるということ
とおっさん少女への萌えを吐き出していましたが、この作品のテーマ自体はとてもシリアスなものです。
特に序盤の耄碌してしまったチャールズ(プロフェッサーX)はかなりショッキングでした。XMENシリーズを長く見てきた人ほどつらいシーンだと思います。
キャラクターを主体としたエンタメは、サザエさん方式だったり、不老不死だったり、ヒーローが老いることのないように作られているものが結構あります。しかし、「実際にヒーローが老いたらどうなるんだろう」という疑問を持ったことがありました。その疑問にストレートに答える作品を見る日がくるとは思わなかったです。
チャールズに毒を吐きながら、彼に平穏な暮らしを送ってほしいと望んでいるローガンが悲しすぎます。高齢化社会にこのローガンを見るということがなんだか運命的です。
老いの先にあるものは何か
じゃあこの作品に救いはないのか、というとそうではありません。チャールズとローガンの前に現れたローラこそが救いになってくれます。
ローガンがチャールズから受け取った思いやりや愛は、旅路の間にローラに受け継がれました。ローラもきっとローガンに与えられたものを他の人に与えていくのだと思います。
老いや死は避けられないものとしてある。それでも、受け継がれていく心がある。言葉にしてしまうと陳腐ですが、2時間彼らの旅を見ていると、実感として心に迫ってきます。
この作品が『ウルヴァリン』ではなく『ローガン』というタイトルなのが象徴的です。ヒーローの話ではなくて、一人のミュータントのおっさんの人生の話なんでしょうね。
抗えない苦しみの中にも意味を見出し、ローラの新しい人生のための礎となるエンディングは、悲しいけれど美しかったです。
まとめ
とりあえずおっさん少女が好きな人は今すぐ見てくださいね!
内容もXMENシリーズを全く知らないとちょっとわかりにくいかもですが、チートなテレパスのおじいちゃんと手から爪が出てくるおじさんさえ覚えていれば大丈夫です。
もっと多くの人に見てもらいたい作品です。