これも沢木耕太郎の『銀の街から』に載っていた作品です。
あらすじ
スランプ中の漫画家、菜都美が過去を回想する。友達だったりさちゃんときいちゃん。しかし彼女らは、長じるにつれて恋人に搾取される。貧困がはびこる故郷で、菜都美だけがほかの街に出ていったのだ。
出ていけることは幸いである
自分が貧困であることを知りながら、そこに留まらなければならなかった菜都美の友人たち。
菜都美が「りさちゃんは幸せ、きいちゃんも幸せ」とぶつぶつ唱えているシーンが悲痛でした。「これが幸せ」と思わなければ生き抜けない、ゆるやかな地獄がありました。
菜都美は故郷を出ていったけれど、それは絵を通して「自分ならどうにかできる」という漠然とした自信があったから。それすら得られなかったきいちゃんとりさちゃんは、男のもとに留まり搾取されるしかない。
描写自体はゆるくてふんわりしているのですが、深く考えると底なしの地獄がある話でした。
貧困が身近でない人にはぴんとこない作品かもしれません。私のクラスメイトにも男に搾取されて破滅した子がいたなあ……。
俳優が美人すぎる
ただ一つ不満があって、この作品、メインキャストが美人すぎるんですよね。
設定上は、「こけしのような平凡な顔」なのに、俳優が美人すぎてぜんぜん設定にリアリティがありません。普通にかわいいので悪い男としか付き合えない理由がわからないし……。
馬鹿で美人ではないキャラクターがこの展開をしてこそ意味があるのに、主人公たちがかわいいせいで、悲壮感があまり伝わってきません。
この辺はキャストが同じでも演出やメイクでカバーできる範囲だと思います。演出の人にはその辺を頑張ってほしかったです。
「美人すぎるのがだめ」というのは変な感想かもしれないんですけど。この作品には合っていないと思うんだな……。
まとめ
面白かったけれど俳優が美人すぎてリアリティが感じられませんでした。
やっぱ私は、「美人ならいい」というタイプではないんでしょうね。