なんでかAmazonに電子書籍がなくて、紙の本で買いました。1、2巻はあるのに……?
あらすじ
無名だった三ツ木高校野球部は、甲子園に出るために猛練習を重ねる。急成長を続けていく上で、捕手の鈴江は、エース月谷の能力についていけずに悩む。はたして能力や心のずれを克服していけるのか……。
ずれを含みながら戦っていく球児たち
この作品に置いては、みんなもやもやを抱えながら、野球をして、試合をしています。
「最高のコンディションで戦えることなんかない」というのはスポーツの世界でよく言うことなんですが、それは体の調子だけではなく人間関係にもいえることなのでしょう。
それでも全力を尽くそうとするところが、みんなえらいなあと思います。
登場人物は、いい人でも悪い人でもない、灰色の人たちです。そういう高校生たちが、「甲子園」という共通の目標を目指して、前に進んでいこうとするのがよかったです。
「こいつ嫌なとこあるな」と思う瞬間もいっぱいありますが、それでも協力しなければならない、というのが団体競技のいいところでもあり悪いところでもありますね。
1巻と別物の仕上がり
しかし全3巻全体を読み終わって思うのは、1巻とはかなり別物の作品になってしまったということです。
1、2巻は連作短編だったけれど、3巻は完全に長編だし、1巻は野球そのものというより、それに伴う心理模様が中心だったのが、3巻になると野球シーンがメインになっています。
もちろんそこにある野球をする人へのまなざしは同じだけれど、人におすすめするときどこから説明していいのかわからない本になってしまいました。読むシーンによって印象が違います。
とりあえず、野球ならなんでも興味あるという人になら、気軽におすすめできるかなと思います。
まとめ
連作短編だった1巻とはかなり別物になってしまいましたが、これはこれで面白かったです。
青春ものの醍醐味が詰まった作品でした。さくっと読めるので、あまり本を読まない人にも読みやすいと思います。