今日の更新は、『クロワッサンで朝食を』です。
このビジュアル、微妙にテーマとは違いますね。あまり明るい作品ではないので。
あらすじ
母を亡くし、エストニアからパリにやってきたアンヌ。彼女は同じエストニア人である老女、フリーダの家政婦をすることになる。だが、フリーダは、わがままで奔放な老人だった。
人生の斜陽とそれに寄り添うこと
面白い、とシンプルに言える作品ではないんですが、いろいろ考えさせられる作品でした。
気難しくてわがままなフリーダは、気まぐれにアンヌをいびります。
フリーダは、「都合のいい老人」であることを拒み、元愛人ですらその扱いに手を焼きます。
あるいは若ければ、その気難しさも一種の個性として受け取られたかもしれないんですが、フリーダは老いてしまった。その事実が見ていて悲しかったです。
自分も移民なのに、「移民女はダメ」と言ったり、せっかく訪ねてきた昔の知り合いをけんかして追い返したり、やっていることがめちゃくちゃなんですよね。
でもそういう風にしかフリーダは生きられない。うっすらと彼女の死を望んでしまう周囲がなんだかつらいです。
しかし暗いだけの話ではなく、一緒に暮らす中で少し心が通う瞬間がありました。それが救いではありました。
そういうちょっとした「救い」があるからこそ、アンヌはフリーダを見捨てることができなかったんでしょうね。
それがアンヌにとって、いいことなのか悪いことなのかわかりませんが。共依存の始まり化もしれないし。
フリーダは昔は、本当に魅力的な女性だったんだろうなとわかるからこそ余計に。
まとめ
人生の斜陽にさしかかった孤独と、そういう人に寄り添う苦しさを感じました。
わかりやすいストーリーではないですが、その分ビターな味わいを楽しむことができました。大人になってから見たほうが、共感できる作品だと思います。
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