あらすじ・概要
花粉症なのに花あふれる国エスカ・トロネアに生まれてしまった姫君のフローレンス。彼女は花のほとんどないラハ・ラドマへの輿入れを狙う。ラハ・ラドマの王子の求婚を受けてかの国に向かうが、王子をはじめ周囲には「なぜ大国の姫がうちのような小国に?」と警戒されてしまい……。
精神性に惹かれるふたりが好き
まず主要登場人物であるフローレンスにもイスカにも、人の上に立つ人間としての自覚があるのが素晴らしいです。
恋愛ものだけれど、愛があれば周囲のことなんて関係ないよね! という態度ではなく、周りの従者や国の民衆も含めて幸せにしたいという主人公ふたりの態度が最高です。ここの国に住みたい。
イスカはいつも臣民を思って優しい行動をするし、フローレンスは自国の利益のために策謀を張り巡らせることを否定しない。形は違えど、ふたりは「王族」としての態度を知っています。
そういうふたりがお互いをリスペクトし、惹かれあっていくのがいいんですよね。わかりやすい胸キュンシーンや、いちゃつくシーンが少ないからこそ、精神性に惹かれているところが強調されています。そこに痺れました。
主人公の性格も、たくましくて正直で、でも強さを鼻にかけたところがなくて読んでいて気持ちいいです。今回の敵役であるシェイル・コーレスの姫君、クラウディアにも言うべきことは言い、譲れるところは譲る、というフェアな態度で臨むところがかっこよかったです。
うっかりするとドロドロしそうな背景を、主人公の正直でさっぱりした人格が前向きにまとめています。だからこそ最後まで楽しく読めました。
『花冠の王国の花嫌い姫』まとめ
主人公の強くて、嫌味のない人格が最高でした。そしてお互いをリスペクトしあうイスカとフローレンスの関係が本当にかっこよかったです。
1巻できれいにまとまっているけれど、続刊も面白いらしいので続きも読もうと思います。