あらすじ・概要
フランス文学者、鹿島茂は買い物が大好きである。店を物色し、いつも衝動買いをしては、後悔したり、当たりを引いたりしている。腹筋マシーン、猫の家、財布など、著者が購入した「衝動買いグッズ」とその後の使用結果を面白おかしく書いた連作エッセイ。
衝動買いが大好きな文学者のおもしろエッセイ
Amazonのレビュー欄やアプリのレビュー欄、それほど買う気もないのに妙に読みこんでしまう人いませんか? 私がそうです。
このエッセイは「衝動買いをした結果を面白おかしく報告する」というのがテーマです。
著者は大学教授でかなりのインテリですが、買っているものは腹筋マシーン、財布、体脂肪計、猫の家など、かなり庶民的。そして買ったものに対して、やれ失敗だった、やれ使いにくかったと愚痴ったり、反対に愛用したりします。その物語自体には特別なものはないですが、著者の語彙とユーモアが合わさると非常に面白くなります。
買い物のしょうもなさ、その結果のとほほさに逆に笑えるんですよね。旅行に行くたびにチープなお土産を買いあさってしまうくせがあったり、成城石井でチーズとワインを大人買いしたり。買い物への高揚感と、そのくせ絶妙に地に足がついた題材が親近感を覚えます。これで作者がものすごい金持ちだったら、共感できないと思います。
しかし題材自体はしょうもないのにさらっと本から引用してきたり、古書にとんでもない散財をしているらしいのは、やっぱり学者だなあと感じます。
ちょっと前の作品なので下ネタなど古くなってしまった冗談が含まれていますが、今読み返しても面白い作品でした。