ブックワームのひとりごと

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人を本にして読む能力を持つ漫画家が怪奇事件を解決―『岸辺露伴は動かない』(実写ドラマ版)

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(1)「富豪村」

 

あらすじ・概要

傲岸不遜な人気漫画家の岸辺露伴。彼は他人を本にして読む特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を持っていた。そんな彼の周りには、引き寄せられるように奇妙な事件が起こる。編集者の泉京香とともに、露伴は半ば火の粉を払うように事件を解決していく。

『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ、『岸辺露伴は動かない』を脚本家の小林靖子が換骨奪胎して三話完結のドラマ化。

 

原作未読だがちょっと怖い怪奇ドラマとして楽しめた

『ジョジョの奇妙な冒険』は三部と五部をざっと読んだだけで、あまり詳しくはありません。楽しめるかと心配だったのですが、そんな心配を打ち砕いてくれる作品でした。

 

方向性としては「世にも奇妙な物語」的なちょっと怖い怪奇ドラマという感じで、露伴が不思議な事件に巻き込まれてはそれを解決していきます。その怪奇現象の作りが面白かったです。

まず露伴の能力「ヘブンズ・ドアー」の演出が面白いです。人間の顔がぱかっと開いて本になるんですが、開くシーンはCGだけれど読むシーンは特殊メイクの実写(多分)なんですよね。

怪奇ものはCGの安っぽさに萎えてしまうことも多いんですが、CGを多くは使わずにうまーく「不思議」を映し出していて楽しいです。登場する本のデザインや文面、イラストもよく作り込まれています。デザイナーがいい仕事をしています。

 

露伴とその相棒京香のキャラクターもすごくよかったです。露伴はめちゃくちゃわがままで平気で他人に失礼なことを言うし、何につけても漫画優先で社会性がありません。一方で、富豪村で不幸を押し付けられた泉や、「くしゃがら」に取り憑かれた漫画家仲間の十五を、誰に褒められるわけでもないのに助けています。

そして十五との会話で、漫画家としても一本筋の通った男だとわかります。

社会的にはどうしようもない地雷男なのですが、人間としては一定の「倫理」を持ち合わせている。そんな露伴は非常に魅力的でした。

泉も最初見たときは「こんな無神経女出して話は大丈夫なのか……?」と思いました。しかし絶妙に話を邪魔せず、むしろサポートするせりふ回しで、図々しく無神経なキャラクターなのにイラつきません

さらに恋人には非常に献身的で、記憶喪失になった彼を支えようと富豪村で富豪になることを狙います。彼が興味を示したものには特にラストシーンには「聖女か!?」という気分になりました。

 

未読なのでどこまで原作の手柄でどこまで脚本家の手柄なのかわからないのですが、そんな未読の人間でも楽しめたドラマでした。

岸辺露伴は動かない 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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(1)「富豪村」

(1)「富豪村」

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