あらすじ・概要
人間が「イーター」と呼ばれる怪物の脅威にさらされている社会。「血性」という力を持つ少年たちがヒーローとしてイーターと戦い、世の中を守っていた。真面目な少年三津木慎は、ヒーローを擁する崖縁工業高校で戦いながら他校のヒーローとも関わり、ヒーローと世界の謎について、「世界を守る」行動とは何かについて迫っていく。
ゲームとしては2020年8月にサービス終了。今はメインストーリーや個人のストーリーが読めるオフライン版だけが存在しています。
硬派なのが美点であり欠点でもある作品
友人のおすすめでDLしました。全部のストーリーを追いきれてないので主にメインストーリーの感想だと思ってください。
端的に言うと、長所は女性向けらしくないこと、欠点は女性向けらしくないこと、という感じです。
ストーリーとしてはかなりシリアスで、死を扱った話題も多いし、倫理的に問題のある設定(※それが肯定されているわけではない)も結構あります。
一方で、描写がかなりカラッとしていてねちっこさや情念が感じられません。オタク的な言い方をすると「エモさ」を押し出さない表現になっています。
そのカラッとした感じが少年漫画チックな設定や世界観と合っていて、「女性向けである」という前提をあまり気にせずに読めます。
キャラクターデザインもガチムチのお兄さんや本当に味方ですか? と言いたくなるような悪役顔の高校生が登場し、キラキラ路線とは少し距離を置きたいのだなと伝わってきます。(よく見れば彼らも整った顔はしているんですが)
方向性がすごく硬派で、「安易に男の『エモい」感情を書いとけばいいだろ」という発想を拒んでいる作品です。
ただそんな硬派なところは欠点でもあって、「この作品のプレゼンをしてくれ」と言われると途端に難しくなってくるんですよね。なぜかというとワヒロのシナリオの面白かったところを言おうとすると途端に致命的なネタバレになるので……。
たとえばメインストーリーで一番最初に驚くのは北村倫理(人名です)の話だと思うんですが、北村倫理の人格がどういう風にこんがらがっているか、そして悪魔的な魅力があるか説明しようとすると「本編を読んでくれ」としか言えません。
さらに血性やヒーロー、この世界のなりたちを巡る世界観の面白さを説明しようとすると、途端に結末のネタバレに抵触しかねません。
それだけ個々のキャラクターの人気に頼らないシナリオだということなんですけど。
私の趣味とは合致しないからものすごくハマるというわけではなかったんですが、丁寧に作られた作品だと思います。
女性というターゲット層以外にも読みやすいんじゃないかな。