あらすじ・概要
主人公は引っ越しの荷解きをする女性。プレイヤーは彼女の視点で荷解きをしながら、彼女の人生を追体験していく。段ボールからものを取り出して置いていき、家を片付けるパズルゲーム。
持ち物から人の人生が見える
「引っ越しの荷解きをするだけでストーリーがわかる」ってそんなことないだろうと思っていましたが、見事に荷解きだけで女性の半生が理解できました。この物語構造と荷解きを結びつけるアイデアが天才的ですね。
主人公はオタクの女性であり、かわいいキャラクターものから実写映画、TRPGに至るまで趣味は多岐に渡ります。年を重ねるごとに新しい趣味のグッズが増えるところに、オタクとしての人生を感じました。
主人公が所有している物品には日本のアニメにまつわるものもあり、日本文化は海外のオタクに大きな影響を与えているのだなと感じます。
旅行のお土産を飾っているところからどこに旅行に行ったのかもわかります。
とはいえ楽しいエピソードばかりではなく、恋人と別れたと察する回もあります。この別れ方を示す部分が絶妙なのですが、ネタバレすると面白さが減る部分なので実際にやってみてほしいです。
その他にも、ユダヤ教の祭礼の道具を飾っていることからユダヤ教徒だと判明したり、杖があるので主人公か同居人のどちらかが障害や病気を抱えているのだろうか? となったり、さりげなくマイノリティ性を示唆する要素もあります。
ゲームとしての戦略性はさほどないですが、頭を使わないので疲れているときでもプレイしやすかったです。物品を置くとき「コトッ」「カチッ」という効果音が流れるのが心地いいです。癒しの効果を感じます。