あらすじ・概要
売れない俳優の桜井は、銭湯で転んで記憶喪失になった羽振りのいい男とロッカーの鍵を入れ替えて、その男になりすます。しかし彼は、裏社会に関わっている殺し屋だった。危険な仕事を引き受ける羽目になって悩む桜井。一方桜井と入れ替わった男コンドウは、 生真面目な雑誌編集者の女性と出会う。
描写が独特な静かなコメディ
俳優と殺し屋の入れ替わりものというドタバタコメディっぽいあらすじとは裏腹に、非常に静かで淡々とした映画です。主要登場人物は全員リアクションが大人しいし、大声を上げるようなシーンもほとんどありません。
この雰囲気は邦画でないと出ないだろうなと思って面白かったです。日本人、基本的に感情表現が控えめだからなあ……。
ヒロイン香苗が30代で、結婚をする計画を立てているところも個性的で楽しかったです。相手もいないのにスケジュール帳に結婚の予定日を書き、同僚に協力を仰いで合コンを設定してもらいます。キャラクターとして面白すぎる。
しかしその一方で、彼女はとても不器用で、それでも人を愛してみたいと思っていることが明かされます。こういうコミュニケーションが下手な人間が恋人なり友人なり、関係を結ぶ話に私はとても弱いです。自分も口下手だからでしょうね。
そんな素直で純粋な香苗にコンドウが惹かれていく理由も何だかわかってしまいます。
個人的に現代ものの男女CPに求めているのはこういうやつ! と思いました。
ストーリーがすごいとか演出がすごいとかではないんですが、優しく静かで見ていて安心できる作品でした。ツッコミ不在のコメディとして面白かったです。