あらすじ・概要
独身でイラストレーターをやっている角田美子と、主夫の丸山紀子は親友同士。バリバリ働いている美子と、子育てに忙しい紀子では、生き方も価値観も違う。しかし違う立場だからこそ話せることもあって……。対照的な二人の友情を描いた四コマシリーズ。
2006年からは価値観が変わってしまった今から読むともやもや
つまらないわけではないんですが、あらすじから想像したものとは違ってもやもやするところも多かったです。この作品の落ち度というより、刊行された2006年から社会が大きく変わってしまったせいでしょう。
美子と紀子は、時に軽口を叩き合いながらも、お互いを尊重しほどよい距離感で付き合える友達です。ちょっと難しい頼みごとを聞く親しい中だと思えば、長期に離れ離れになってもさらっとしているドライさもあります。その関係が「友情」でしかありえなくていいんですよね。色めいたところがない。
この作品としてはふたりの友情を通して「いろんな生き方がある」と伝えたかったのだと思うのですが、描写の仕方がすでに古くなってしまっています。
根底に、紀子の生き方を「普通」とし、美子の生き方を「普通じゃない」と定義しているところがあります。
なので紀子は何の悪気もなく美子に「いつまでひとりでいるつもり?」と言ってしまうし、美子も「ひねくれた女」として描かれています。
これを見ると、ほんの15年でも女性の描き方は変わるものだなあと思いました。女性を勇気づけたかっただろう、女性作家の作品ですらこれなんですよね。
何も考えず友情ものとして読むならば面白かったのですが、「女性を勇気づける作品」としてはいろいろぐるぐるしてしまって楽しめなかったです。でもそういう「時代」を感じるのも表現の面白さではあるんですよね。