あらすじ・概要
コテージに集った4人の美しい女子大生たち。この旅の主催者葵の発案によって、彼女らは順繰りに己の秘密を告白していく。容姿も富も才能も豊かな彼女らが、胸に秘めていた「誰にも言えない」過去とは……。
女性蔑視をぎりぎりで回避する楽しい悪意のフィクション
ドロドロ露悪的作品なんですが、よくある「女社会って怖い」という女性蔑視はぎりぎりで回避して、エンターテインメントとして楽しめる楽しい露悪として成立しています。
悪いのは彼女ら自身だけではなく、彼女らをとりまく社会もまた闇が深く、自分の都合しか考えていない人々が跋扈する場所として描かれているからでしょう。
こういう人の邪悪さを扱った作品のいいところは、自分自身の人に言えない、ネガティブな感情を投影し、ちょっと救われるところだと思うんですよね。そういう意味でこの作品は最適でした。
オチは賛否両論あるのはわかるけど、個人的には好きです。ちょっと宣伝の仕方が悪かったのではないでしょうか。劇的などんでん返しを期待すると肩透かしを食らいますが、ホラー小説としては全然ありだと思います。因果応報要素もあるのでスカッとします。
むしろ自分たちに身の危険が迫ったときの彼女らの行動はわくわくしたし、暗い喜びがありましたね。露悪的な作品はこうでないと。
オチは好みが分かれるだろうけど、「フィクションの中で悪意を楽しみたい」という人にはおすすめできます。面白かった。