ブックワームのひとりごと

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居場所のない少女がハーブティを出すカフェを手伝って強くなる―有間カオル『魔法使いのハーブティ』

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魔法使いのハーブティー (メディアワークス文庫)

 

あらすじ・概要

母親が死んでから親戚をたらいまわしにされていた少女、勇希。横浜に住む叔父の元に預けられることになるが、叔父はかわいらしいハーブティのカフェを経営していた。そこでカフェを手伝うことになった勇希は、やってくる様々な問題や事情を抱えた客たちと出会う。

 

ベタな話だけど癒された

「傷ついた少女が優しい大人と出会い、様々な人と関りながら成長していく」というベタな話ですが、たまにはこういうベタな話もいいですね。癒されました。

居場所がなく所在なさげだった勇希が話が進むにつれてどんどんしゃんとしていくところがほほえましいですし、クライマックスでストーリーの中で得た強さを発揮したところが気持ちよかったです。これからも強く元気に生きてほしいところです。

 

登場するキャラクターも面白くて、どこかかわいらしい欠点や葛藤を抱えているところがよかったです。

善悪をテンプレ的に描くのではなく、人間だからいいところも悪いところもあって当然なんだよな、と自然に思えるような描写でした。

個人的に好きなのは美形のチャラ男、陽斗です。いいかげんでちゃらんぽらんに見えて、彼も強い劣等感や悲しみを抱えています。顔が良くてもままならないところがシビアです。

 

ただちょっと文章が読みづらく、一冊読むのに時間がかかったのがネックでした。この辺は相性もあるかもしれませんが。もう少しサクサク読める文体だと助かりました。