あらすじ・概要
野原家の父親、ひろし。ある日怪しげなエステにつられて入っていくと、いつの間にか自分がロボットになっていた。妻のみさえはロボットのひろしを追い出そうとするが、しんのすけは自然にロボットの父親を受け入れる。ロボットの有能さを武器に、ロボひろしは少しずつ野原家に居場所を得る。
何が父親を父親足らしめるのか
ストーリー自体はめちゃくちゃで整合性がないです。そこは映画の本題ではないからいいでしょう。
肝はやはり「そっくりそのまま父親の記憶を引き継いだロボットが現れたら?」というところで、そこから生まれる家族関係のドラマが面白かったです。
本物のひろしがいない間は、ロボひろしと仲睦まじい生活をしていた野原家。しかし本物が帰還したとたんに一気に状況が不穏になってしまうのが悲しいです。
先入観のないしんのすけはロボひろしと生身のひろしを「どちらも父親」と認識するのですが、妻であり、家庭に責任を負っているみさえはやはり「本物は生身のひろし」だと思ってしまうんですよね。その事実を知ったロボひろしの苦しみが見ていてつらかったです。
ロボひろしは本物のひろしより有能で、体力もあり、ただロボットであることだけが欠点である。こうなってくると、何が父親を父親足らしめるのかよくわからなくなってきます。
ラストはかなり苦いものでしたが、それでもロボひろしとの思い出を野原家が引き継いで行こうとしているのは救いでした。序盤では怠け者だった本物のひろしが、「父親とは何か」を考え直すきっかけでもあったのではと思います。