あらすじ・概要
著者が小学生のころ拾ってきた犬、ムク。最初は反対していた両親も、情に流されて飼うことに。家族にはなついているものの、他の人間には気難しくわがままなムク。しかし著者とムクは、文句を言いながらも楽しい時間を過ごす。やがて著者が上京するときがやってきて……。
犬と家族の絆、そして別れ
昔の話なので、犬がみそ汁ぶっかけご飯を食べていたり粗末な小屋で外に繋がれていたりします。こんな塩分の多い食事でよく16歳まで生きましたね……。頑健な犬だったのでしょう。
著者があとがきで断りを入れているように、昔の犬の飼い方というものはこんなものなので、あまり現代の価値観でツッコむのは無粋でしょう。
拾われてきた犬に、著者の両親は飼うことを大反対します。しかし庭にいついた犬と一緒に暮らすうちに情が移り、犬がいなくなったときは寂しそうにしているのが面白かったです。
飼い犬となったあとはすっかり家族の一員となり、特に著者の父親とは仲良くやっているのが笑えました。
家族と犬の絆が深まっていく描写が面白かっただけに、犬の看取りのくだりは悲しかったです。
元気だった犬がどんどん衰弱していく姿を見て、おろおろする人間たち。私も実家の猫を看取ったことがあるので共感してしまいました。
しかしムクは、最後まで大切にしてもらって幸せだったと思います。
動物コミックエッセイは「かわいい」と言う感想しか抱かないことも多いけれど、これはしみじみ噛みしめるような読後感でした。