ブックワームのひとりごと

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違いを持った人々が意見を言い合うときそこに政治が生まれる―宇野重規『未来をはじめる:「人と一緒にいること」の政治学』

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未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学

 

あらすじ・概要

政治学者、宇野重規はとある女子校で政治学の講義を行い、それを本にまとめることになった。友達同士であれ、国際的な舞台であれ、違った価値観の人の意見が衝突すれば、そこに政治が生まれる。社会における意思決定はどう行われるべきか、若者たちと語らう本。

 

政治のポジティブな面を考えられるようになる本

政治学を専攻していた友人がおすすめしてくれた本です。政治に詳しくない私にもわかりやすく、とっつきやすい本でした。

 

Twitterをやっていると過激で偏見に染まった意見に辟易することが多く、「政治」というものに希望が持てなくなりますが、この本は政治におけるポジティブな面が多く書かれていて、読んでいて前向きな気持ちになれました。

他人に無理やり言うことを聞かせるのではなく、「政治」によって社会を動かしていくことにはどんな意味があるのか、どうして殴り合うよりはましなのか、あらためて考えさせられました。

 

また、今の「ひとり一票」のシステムは課題が多く、様々な投票システムを考案している政治学者もいる、と言う情報は新鮮でした。候補者に順位をつけて投票したり、政党をパーセンテージで分けて投票するのは面白そうです。

考案はされるけど採用されないのは、やはり何だかんだ大きく政治システムを変えるのは怖い、と、政治家にも民衆も思いがちだからなんでしょうかね。

 

最後に「投票以外の政治活動」について触れられていて、地域のために活動したり、寄付活動をしたり、ボランティアをしたりすることが挙げられていました。

こういう「まだ自分にも何かできることはあるのでは」と思わせてくれるのは少し心が救われます。自分が無力だと思うとしんどいですからね。

 

「政治=過激な発言」なのでは? と思い込んでしまった人にこそ読んでみてほしい本でした。