ブックワームのひとりごと

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虐げられた少女の一発逆転と、本当の高貴さとは何かというメッセージ―『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

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コンフィデンスマンJP プリンセス編

 

あらすじ・概要

世界有数の大富豪レイモンド・フウが亡くなり、その遺産は行方の分からない末の子ミシェルが相続することになった。詐欺師のダー子はスリの片棒を担がせられていた少女、コックリをミシェルに仕立て上げ、レイモンドの子どもたちから手切れ金を要求することを思いつく。しかしダー子とコックリは本物のミシェルとその母として軟禁されてしまい……。

 

高貴さとは何かを問いかける、現代のシンデレラストーリー

私はコンフィデンスマンJPシリーズは初視聴。よくわからない設定やキャラが登場しつつも、何も知らなくても楽しめる作品でした。

 

「どん底女子が頂点に成り上がるシンデレラストーリー」であり、それを成し遂げる魔法使いが詐欺師グループというミスマッチな面白さ。

テンポよく話が展開していき、観客を飽きさせません。これからどうなるの? というシーンの連続。そして詐欺の全貌が明らかになる終盤の伏線回収は喝采を上げたくなるくらい素晴らしかったです。

 

同時に、話が進むにつれて「本当の高貴さとは何か」という問題を扱っていくのが現代らしさを感じました。

ただ虐げられた子どもだったヒロインのコックリが、フウ家に軟禁され教育を受けさせられていくうちに、自分に自信を持ち意思を獲得していきます。

彼女の獲得した能力が花開き、自分の意思でどうするか選択した瞬間、「彼女は本当の高貴さを獲得したのだ」と納得しました。

現実の社会は貧富の差が逆転することなどそうなく、貧しい人たちは日々苦しんで生きています。だからこそ、「とある悪党が貧富の差を逆転してくれる」話が美しく感じるのでしょう。

元気の出るエンターテインメントで面白かったです。

 

ただ話の壮大さのわりに、小道具や背景がチープなのだけが悲しかったです。予算が少なかったんでしょうね。