あらすじ・概要
先代の王が亡くなったばかりの王国。そこには苛烈で残酷な王子、ミハイルと、明るく優しいけれど流されやすい王女、アルヴィナがいた。プレイヤーは彼らの使用人「ユーリ」となり、交流を深めながらも王位の行方を目撃する。
すっきり終わらないけど人間味がある
帝政ロシアを思わせる雰囲気の王宮で、使用人の主人公が王位継承のごたごたに巻き込まれます。
まず女性主人公を選んだら、いきなり主人公が泥棒するところから始まったので笑ってしまいました。女性主人公には盗癖があり、その悪癖がストーリーに関わってきます。
王子ミハイルはなぜか主人公を気に入り、何かと世話をさせます。
女性主人公の悪癖も大概なんですが、ミハイルも残酷でわがままな王子なので一種の悪趣味ギャグのように読めました。
性格に問題があるふたりがなんだかんだで主従として成立していくのは意外性があって面白かったです。
男性主人公、つまり王女アルヴィナルートは王女と男性主人公の淡い恋が描かれます。
あまり頭がよくないものの、天真爛漫で周囲に好かれるアルヴィナ。しかしその純真さで利用されていることにも気づいていません。
貧しい家に育った男性主人公は、アルヴィナの愚かさに呆れながらも、その純真さに惹かれていきます。
恋の終わりはあっけなく、それでいて切なさがありました。
どちらのルートも根本的な解決は描かれておらず、登場人物が反省したり成長したりするわけではありません。
しかしサブキャラも含めて、人間ってそういう嫌なところあるよなーとか、こういう何気ないところが好きになったりするんだよなあ、とか、共感できるシーンが多いです。
正しい話ではないですが、人間の魅力と愚かさを同時に描いた話としては面白かったです。