あらすじ・概要
障害のある子どものためのおもちゃを作っていた著者は、その流れでみんなが使える商品、アクセシブルデザインに携わることになる。少しの工夫で使える人が増える、アクセシブルデザインの中身とは……。
「できるだけ多くの人が使える道具」をどう作るか
著者はかつて障害のある子どものためのおもちゃを作っており、その経験から日用品のアクセシブルデザインに携わるようになります。
前半の、障害のある子どものためのおもちゃの歴史、そして誰でも使えるデザインを広めようとする人々の努力は面白かったです。この本は薄いからダイジェストですが、詳しい話も聞いてみたいです。
驚いたのは、歩道と車道の段差の高さもアクセシビリティの観点から設定されていたことです。視覚障害者がそのまま車道に出ていかないようにするには段差が必要ですが、車椅子の人には段差はむしろバリアになります。車椅子の人がギリギリ乗り越えられるデザインが、今の歩道と車道段差だそうです。
歩道と車道の段差だけではなく、アクセシブルデザインの工夫は大げさなものではなくてちょっとしたものが多いです。「ちょっとした工夫を考えるコスト」を社会が払えるか、大事にできるかがポイントですね。
しかし、色覚異常の人の話が一切出て来なかったのがちょっと違和感があります。なんとなく、色覚異常の話はアクセシビリティの話においては欠かせないものだと思っていたので……。