あらすじ・概要
宗教にハマった母と、毎回泥酔するほどお酒を飲んでしまう父。母は嫌がりながらも父と飲み仲間の世話をしていた。著者はそんな両親とともに生活していた。やがて母が自殺し、父の世話は著者と妹の仕事になる。アルコールに依存する父に振り回され、著者は自分の人生を生きることができないでいた。
アルコール依存症の父親を前に揺れ動く心
いわゆる毒親ものなのですが、親への恨みつらみを描くというより、親を愛し助けたかったという気持ちと、親を許せない気持ちの間で揺れ動く自分の姿を描いています。
結局最後まで結論が出ないまま終わりますが、それが今の著者のあり方ならそれでいいのでしょう。
著者はアルコール依存の父親に振り回され、母親は宗教にハマったのち自殺し、まともな男女の性愛とはどういうものかわからないまま育ちます。
そんな著者がモラハラ系の男と付き合ってしまい、なかかな別れられなかったくだりははらはらしました。
もちろん著者の父親も悪いのですが、怖かったのは父親を取り巻く人々の態度ですね。
お酒の飲み過ぎによって姉妹が困っているのを目の前にしているのに、飲み会に誘って父親にお酒を飲ませ続けます。
「連れて行かないで」と言っているのに飲み会に連れていくシーンにぞっとしました。
結果的に著者の父は飲酒による食道がんで苦しんだわけで、友達ってなんだろうと嫌な気持ちになりました。
「男はたくさん飲むのがかっこいい」みたいな価値観は早くなくなってほしいです。
描写されていることはつらいですが、著者が自分の内面を語るのがうまく、安心して読めました。