あらすじ・概要
大学を出てすぐに若くして結婚し、子どもをもうけた著者。しかし強いうつ症状に襲われ、復帰と休職を繰り返してしまう。家族がばらばらになりそうな中、著者は自分が発達障害であることを知った。発達障害の特性を考えながら、家族を再構築していく作業が始まった。
発達障害者も家族と一緒にいられるという救い
社会人として、労働者として世の中に適応することができずに、うつで家で療養せざるをえなかった著者。「男は外に出て家族を養わなければならない」「既婚の男がアルバイトをしているなんて恥ずかしいことだ」と自分自身のテンプレートな男性観にも悩まされます。
ある程度社会に適応することができていた時期もあるようなので、著者はおそらく能力そものものはあるのでしょう。しかし無理をして周りに合わせてしまったことから、限界が来てしまいます。
自分が発達障害であることに気づいてから、自分の人生を振り返り、家族の再構築を目指していきます。
みんなが著者のように、伴侶と和解できるわけではないでしょうし、著者自身も別居や離婚という選択肢を否定していません。それでも迷い苦しみながらも、家族と一緒にいられることができたということはひとつの救いに感じました。
「外に出てお金を稼がなければならない」という固定観念から離れ、自分が今家族のために何ができるか考えられるようになった著者を想像すると勇気づけられました。
後半には「開かれた家族」について書かれています。孤立するのではなく、家族が社会と関わりを持っていくこと、風通しをよくすることが大事だと著者は説きます。
ひとりでいるのが楽だと思ってしまうからこそ、この考えは大事かもしれません。困ったときにすぐ助けを求められるくらいに家庭の風通しをよくすることは、難しいけれどひとつの解決策だと思いました。
著者の意見と話はずれますが、若い夫婦に対する補助の少なさも感じます。お金のこともそうですが、メンタルヘルスについてもっと知る機会があれば、著者も家族も悩む時間は減ったのではないかと思います。