あらすじ・概要
優等生のメイは、実はアイドルオタク。彼女はある日レッサーパンダになってしまう。それは一族の特異体質であり、儀式を行えばレッサーパンダは体から出ていくらしい。しかし、メイはアイドルグループのチケット代ほしさに、レッサーパンダの外見を利用して……。
オタク少女が自信を持つまで
主人公がアイドルオタクな作品です。キラキラしたオタクの上澄み層ではなく、限界になったり無理になったり号泣したりするオタクが、露悪的にも自虐的にもならずに描かれているのがよかったです。
メイは冴えない外見ですが、冴えない外見のまま、自分にできることを見つけて自信を持つところがよかったです。そして外見がさほど変わらなくても、自信や自己肯定感を身につけると態度や立ち振舞いが変わり、魅力的に見えます。ファッションや化粧より、その部分を描いてくれたのがうれしいです。
そしてその変化をもたらすのが、家族や教師ではなく、友達というのも好きです。守られるだけの子ども時代を抜けて、対等な立場で助け合う相手を見つけていくメイを応援したくなりました。
「レッサーパンダに変身する能力は自分の個性なのではないか」と思ったメイは、自分を抑圧する母親と戦うことになります。しかし母もまた、親からの抑圧に悩んでいました。
メイの事件をきっかけとして、メイの家族が自分たちの今までの価値観を見直し、大人として成長していこうとする姿は印象的でした。
子どもが前に進もうとするだけではだめで、大人も子どもを受容し、自分とは別の価値観を持つ人間だということを知らなければなりません。子どもに一方的な成長を強いる作品も多いので、このシーンはすっきりしましたね。
レッサーパンダもふわふわでかわいかったですね。私もメイの変身姿をもふもふしたい。