あらすじ・概要
自営業として働いていた著者は、ある日うつ病になる。何度か自殺未遂を繰り返したものの、訪問看護やヘルパーの人々に助けられる。自分も資格を取ってみようと、学校に通い始めるのだが……。
コミュニケーションを取ることによって自分を知る
うつ病患者としての問題、LGBTとしての問題、そして仕事の問題と、さまざまな要素が絡み合った作品でした。
著者のうつはなかなかよくなりませんでしたが、訪問看護を利用したり、ヘルパーの人に助けてもらったりしたことで、少しずついい方向に向かいます。
縁というのは運要素が強いけれど、それでも縁というのはありがたいものだなあと思いました。
介護職は過酷で、精神疾患の人にはあまり向いていないと言われていますが、著者はむしろ利用者さんとの対話で救われた面も多かったようです。
また、絵や粘土を扱う能力も評価されました。
職場での関係にも恵まれ、「(体は女だが)働いているときは男として扱ってほしい」という要望も叶えてもらえました。
捨てる神あれば拾う神というか、人間万事塞翁が馬だなあという思いを抱いたエッセイでした。