ブックワームのひとりごと

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【Twitterのフォロワーや福祉支援員などのゆるいつながりで社会復帰をする】ズミクニ『統合失調症になった話(※理解ある彼君はいません) 』

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統合失調症になった話(※理解ある彼君はいません) 推しと福祉に救われて社会復帰するまでの劇的1400日 (カドカワデジタルコミックス)

 

あらすじ・概要

あるときから、幻覚や妄想に囚われるようになった著者。ついに地元を遠く離れた場所で措置入院となり、閉鎖病棟で治療を受ける。やがて退院して社会に戻った著者は、ヘルパーとして働くも陰性症状に悩まされる。統合失調症の発症から、社会復帰までを描くコミックエッセイ。

 

ゆるいつながりでも人を助けられるという救い

闘病記は病状が落ち着いたところで終わることが多いですが、この作品は福祉の力を借りて社会復帰をするところまでが描かれていて興味深いです。
実際のところ、病気が重くなくなっても生活は続くので、仕事を含め生活の話をするのは大事だと思います。

 

激しい幻覚や妄想に襲われ、措置入院(本人の同意を得ずに入院させること)まで至った著者が、正しい治療と規則正しい生活で就活をするまでに至ったところがなかなかすごいです。

この作品には理解のある家族も、親しい友人も出てきません。しかし著者は、Twitterでのつながりや、精神障害に理解のある上司、福祉の支援員など、多くの人に支えられたと言います。

 

ひとつひとつはささやかなつながりであっても、著者がその助けを受け入れ行動することで、状況は好転します。
極端に親しくはなくても、困っている人を助けられるという事実は、支える側としても励みになるのではないでしょうか。

 

「推しの力」と書いてはありますが、実際のところ二次元キャラクターが出てくるところはそれほど多くありません。

しかし好きなゲームをきっかけに自死を思い止まったり、作品が楽しめるかどうかが体調のパラメーターになっていたりと、鍵になっているシーンがあります。

著者にとっては、何かを好きでいられることが心の支えだったのだろうなと思います。

 

監修者によるコラムもクオリティが高く、面白かったです。100人にひとりという統合失調症の人々を助けるため、社会も関心を持つ必要があるとわかりました。
統合失調症について知りたい人にはおすすめのコミックエッセイです。

 

👆 統合失調症については漫画がわかりやすく情報量も多いのでおすすめです。