ブックワームのひとりごと

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『サイダーのように言葉が湧き上がる』イシグロキョウヘイ 感想

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サイダーのように言葉が湧き上がる(DVD通常版)

 

あらすじ・概要

俳句が好きな少年、チェリーは、内気でなかなか自分の作品を声に出して発表できないでいた。そんな折、配信者のスマイルという少女と出会い、少しずつ親しくなっていく。しかし、チェリーは近いうちにこの町を引っ越していく予定だった。

 

きらきらしながらも地に足のついた作品

ボーイミーツガール、恋愛と、内容としては王道ですが、細部の造り込みが光る作品でした。

物語の重要なテーマとして、俳句が出てきます。主人公は、俳句を愛し、日常的に句を読む文学少年です。しかし、自分に自信がなく、人前で句を発表することに強い抵抗を覚えます。

この映画は、彼が腹をくくって句を発表できるようになるまでを追います。

 

サブキャラクターたちも、老人介護施設の人だったり、外国から来た友人だったり、そういう「現実にはいるけれど、フィクションにはあまり出てこない」人たちなのが好きです。

きらきらとした非現実味が強い絵柄の中で、地に足のついた設定を持っているのが「自分にも起こりうること」として共感しやすかったです。

 

愛を確かめあうベタなラストも、この作品なら大いにありだと思える内容でした。

「ありがち」なストーリーの中でもまだまだやれることはある、と思わせてくれる作品でした。